19年のキャリアを持つ図書館司書として、これまでに800冊以上の英語児童書を読んできたなか なかこさん。 そんな「選書のプロ」が、あえて21世紀以降の現代作品に絞って紹介するのが、本書『現代英語児童書ベストセレクション』です。

「世界を知る」ために読む

「今の英語児童書は、かつての名作とは描かれている世界がまったく違います」 なかこさんは、インターナショナルスクールなどで日々子どもたちと本を繋いできた経験から、そう語ります。

本書で紹介されているのは、ジェンダー、多様性、移民家庭、複雑な人間関係など、現代社会が抱えるリアルなテーマを扱った120冊です。 「英語を身につけるための教材としてだけでなく、今の世界で何が起きているのかを知る入口にしてほしい。そのために、21世紀の空気感を持つ作品を厳選しました」

客観的な評価に基づいた「信頼できる120冊」

本書の大きな特徴は、紹介されている作品の多くが、世界的に権威のある賞を受賞していたり、ベストセラーとして評価を確立していたりする点です。

「どれを読めばいいか迷っている方のために、司書の視点で『間違いのない本』をナビゲートしたかったんです」 掲載されている作品の一部を挙げると、その信頼性がわかります。

ベストセレクションの一部を紹介

『Hair Love』（レベル1：絵本）

アカデミー賞短編アニメ賞を受賞。髪を編むことを通じて描かれる父と娘の絆。

『Dragons and Marshmallows』（レベル2：児童書）
Amazon.comで教師が選ぶおすすめ本に選出。科学的な思考とファンタジーが融合した物語。

『Far from the Tree』（レベル6：ヤングアダルト小説）

全米図書賞受賞。養子縁組という重厚なテーマを、当事者の視点で繊細に描いた衝撃作。

これらは単なるリストではなく、英検やTOEICの目安に合わせた6段階のレベル別で整理されており、自分の実力に合った一冊をすぐに見つけることができます。

大人の「英語学び直し」に最適な新定番

本書は、かつて英語を学んでいた大人たちにとっても、格好の案内図になります。 「『わからなくてもいい、感じるだけでいい』という入口が大切だと思うんです」となかこさんは言います。

中学・高校レベルの英語があれば、現代の知性や感性に触れることができる。 各ページに添えられた、物語の雰囲気を伝えるイメージイラストを眺めるだけでも、英語児童書の新しい世界が広がっていくはずです。

21世紀の物語と出会う扉

『現代英語児童書ベストセレクション』は、単なるブックガイドではありません。 難しい計算や暗記はいったん脇に置いて、まずは気になる一冊を手に取ってみる。 そこから、今の世界と繋がる新しい英語体験が始まります。