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著者インタビュー

手紙を書いたり読んだりする時間が心の余裕を生むー文通歴35年の体験談

小森利絵(こもりりえ)

おてがみじかんで ほんの少し 心にゆとりを

著者:小森利絵

ページ数:92

価格:1100

最近、お手紙を書いたのはいつですか? 「仕事で書類等を郵送するために送り状を」「友だちのお誕生日にはバースデーカードを」「数人に向けて年賀状を」といったことはあっても、書く機会は減ってきているのではないでしょうか。中には、まったく書かないという人もいるでしょう。

 

しかし、「忙しい日々の中にこそ、『+お手紙』で心にゆとりが生まれる」と力説するのは、文通歴35年・自分宛のお手紙も書き続けて8年という小森利絵さん。1年を振り返って1年後の自分に宛てて書いたり、季節のあいさつ文を添えることで相手に季節を贈ったり、“言葉のアルバム”として旅先から絵はがきを送ったり。気づいたら、そんな日々によって人生や人間関係に多彩な豊かさや楽しさが生まれていたと振り返ります。

 

その体験談を書き綴ったエッセイ『おてがみじかんで ほんの少し 心にゆとりを』。そもそも、どうしてお手紙? どうして心のゆとりにつながるのか? そんなお話をうかがいました。

 

忙しい日々の中で少し“スローライフ”体験

「お手紙本を出しておきながらなんなんですが、実はお手紙を時々しか書かないんです。だけど、その“時々”でも書くことが大切だと思っています」と小森さん。

 

日常ではメールやSNSのメッセージ機能、LINEをフル活用しているそうですが、40代の小森さんのまわりには世代的にお手紙文化が少し残っていて好きな友人も多かったから、気づけばお手紙も連絡手段・コミュニケーションツールの一つとして残ってきたそうです。

 

「年に2回しかやりとりをしない場合もあります。そんなスローペースでもつながっていられるのがお手紙。手間も時間もかかるものだとわかっているから、相手から返事が届かなくても“便りのないのはよい便り”くらいにどっしりと待てるんです。届いたら、ぐっと距離感が縮まるのも不思議! じっくりと確かに積み重ねてきたやりとりがあるから、その人の文字や文面を見ると対面した時のようにいろいろと思い出せるんでしょうね」

 

余分や無駄こそが人生にいろんな豊かさをもたらす

電話やメール、SNSのメッセージ機能、LINEなど、さまざまな連絡手段・コミュニケーションツールがある今だからこそ、日々の連絡や急ぎの用件の伝達、即時性のあるやりとりはお手紙以外のツールに任せ、お手紙では余分や無駄を楽しんでほしいと話します。

 

「たとえば、お手紙では冒頭に時候の挨拶を書くことが多いです。自分自身が季節を感じていないと書けません。最近、葉が色づいてきたなぁとか、息を吐くと白くなるようになったなぁとか。自分の近況を書くにしても、自分が今どんな気持ちか、どんなことに興味があるかなど、自分と向き合って言葉にしていく必要があります。もちろん、相手のことも考えますから、前に会ったのはあの時だったとか、こんな話をしていたけど、どうなったのかなとか。そんなことを感じたり思ったり考えたりする時間はほんの数分程度かもしれません。けれど、そんな時間が日々の中に少しでもあるのとないのとでは違ってくると思っています」

 

お手紙というだけで喜んでもらえる特別感

とはいえ、めったに書かないからこそ、「どう書いたらいいの?」と書きづらくなっているのも確か。どこかで“いい文章”を書かなくてはならないと思っていませんか? しかし、お手紙はあくまで連絡手段・コミュニケーションツールの1つです。「文学作品ではないから名文ではなくてもいい」と意識するだけで、気楽になりませんか。

 

「伝えたい相手に伝えたいことを伝わるように書くだけです。『それが難しい』と思われるかもしれませんが、『相手に伝わるように』と意識するだけで自然と言葉選びや内容が変わってくると思いますし、思いはちゃんとお手紙に表れますから大丈夫! それに、お手紙をもらう機会自体が減っていますから、もらえるだけで喜んでもらえる可能性が大きいんですよ」

 

『おてがみじかんで ほんの少し 心にゆとりを』では、日々の中でのお手紙のさまざまな楽しみ方を紹介しています。「あの人、元気にしているかな?」「あの人に改めてありがとうという気持ちを伝えたい」など、ふと顔が思い浮かんだ“あの人”にお手紙を書いてみませんか?